タイで自社サイトを有効にビジネスに役立てるには、タイ人と日本人の受け止め方の違いについて知っておくことが大事です!

 

ウェブサイトは持っているが、ビジネス獲得にそれほど有効活用できていない、そのような企業は多かったのではないでしょうか。

コロナ過で今までのオフライン営業に制限が出てきたり、働き方自体が変容している状況で、オンラインへシフトする企業が急増し、ウェブサイトの重要性を実感されているかと思います。

対面営業が主流だったB2B企業でも自社ウェブサイトへの流入を増やす施策などを実施しながらビジネスの成果を出し始めています。

ただ、日本に本社がある現地法人では、ウェブサイトが本社からグローバル管理され、現地実情に対応できていない、またはグローバル統一されているため現地用に手を加えることができず、本社の日本人が作ったウェブサイトをそのまま海外で使用しているという例も多いようです。

また現地で現地用に立ち上げたウェブサイトでも、どうしても本社も含めた「日本人目線」になりがちで、「日本人には受けが良い」が「タイ人には異なった受け取り方をされてしまった」など、まだまだ課題はあるようです。今回は以下の流れでご説明出来ればと思います。

1. タイのインターネット事情
2. 自社ウェブサイトをビジネスに活用するには
3. タイ人にとって魅力的なウェブサイトとは

1. タイのインターネット事情

2021年現在、タイではインターネット利用者が4900万人近くに上り、全人口の約7割を占めるに至っています。昨年と比べても340万人増(+7.4%)とまだまだこの先も伸張すると予測されています。

internet users in thailand

(出典:dataportal)

また、タイではインターネット利用者4900万人近くのうち、4700万人がスマートフォンからインターネットを利用しており、割合として97.70%になります。一方で日本の割合は83.10%になります。

スマートフォンでのインターネット利用率

インターネット平均利用時間は1日当たり8時間44分で、2021年度日本の総務省の調べによる日本のインターネット平均利用時間が4時間程度であるのと比較すると、タイ人のインターネット依存が大変大きいことがわかります。

一日の使用時間タイと日本比較

また、タイでの検索エンジンシェアは以下になります。

ほぼ99%の人がGoogleを使用して情報収集をしているのがわかります。

2. 自社ウェブサイトをビジネスに活用するには

ウェブサイトをビジネスに活用するためには、まずウェブサイト運用の成果となる明確な目的・ゴールを設定することが重要です。
さらにターゲット(どういう顧客層に自社の製品やサービスを閲覧して欲しいか)も明確にしておく必要があります。

ターゲット訪問者が、貴社サイトが読みにくい、求めている情報が見つからない、わかりづらいなど、満足をせずに離脱した場合、ウェブサイト運用の目的を達成することが難しくなります。

「とにかく洗練された・きれいなデザイン」

と言ったご要望をいただくことがありますが、開発前の段階できちんと目的やターゲットを明確にし、そのターゲットにとって魅力的でわかりやすいサイト構成やデザインになるよう設計する必要があるのです。

では、ターゲットにとって魅力的でわかりやすいサイトとはどんなものなのか?

日本のウェブサイトをタイ人に見せると必ずと言っていいほど「文字量が多すぎる」という反応が返ってきます。

タイは歴史的に口承文化であり、もともと活字を読むことを苦手とするタイ人にとって、文字を大量に含むサイトはそれだけで「わかりづらい」印象を持たれることが多いです。
ある調査では、日本人の1年間に読む本の平均冊数が3冊であるのに対し、タイ人は7行という結果が示されたこともあったようです。

日本のサイトは、日本人の美意識や文化背景が影響し、大胆なデザインに挑戦するよりはどちらかというと堅実でシンプルなデザインが目立ちます。

日本ではできるだけ情報を網羅してお見せすることが「おもてなし」とされ、文字量が多くなる傾向にありますが、タイの人々からすると返って不親切と認識されてしまうことがあるのです。

以下のように日本人とタイ人では、それぞれ受け止め方に違いが出てきてしまい、ブランド毀損につながるリスクがあるのです。

このようにそれぞれのターゲットの受け止め方を把握することで、ユーザビリティーの高いサイトを設計できるようになります。ユーザビリティとは一般的にターゲットにとってのウェブサイトの「使いやすさ」のことを指しますが、単に「ウェブサイトが見やすく美しいデザインになっているか」ではなく、目的をもったユーザーがサイトを訪問した際にその目的を達成できるかどうかがポイントになります。

様々な機能に簡単な操作でアクセスできることや、使っていてストレスや戸惑いを感じないことなどが、優れたユーザビリティを実現するわけです。

3. タイ人にとって魅力的なウェブサイトとは

タイのウェブサイトの例を3つ見てみたいと思います。左からトヨタ(タイ)、SCB銀行、バンコク銀行のサイトになりますが、パッと見てもわかる通りどれも画像を多めに表示したレイアウトになっています。

一方で日本のサイトを3つ上記と同じ業種のものを比べてみましょう。タイのウェブサイトと比べていかがでしょうか。極力シンプルで画像よりテキストで情報を多く提供しているのがわかります。

タイのサイト、日本のサイト、それぞれが以下のようなユーザーに快適に情報にたどり着いてもらうための工夫をしていますが、結果的にサイトのユーザビリティの思想は異なってきます。

日本

  • 少ないクリック数で目的のページにたどり着ける
  • クリック数を減らすためにトップページに表示される選択肢が多くなる

結果:情報が多くなる分、どうしてもテキストのみの表示が多くなりがち

タイ

  • ざっくりとカテゴリーされたメニュー
  • 画像が大きくテキストは少なめ

 

結果:

  • クリックするたびに、必要のない選択肢が減り、確実にゴールに近づく
  • ページ数が多くなりがち、だけどその分写真やアイコンを補助的に使用できる
  • ページ内容を想像しながら次に進める

このように日本人ターゲットに向けたサイトとタイ人ターゲットに向けたサイトでは「見せ方」や「構成」、「導線」が異なる場合が多く、現地向けサイトを立ち上げる際はこういった点に留意する必要があります。(弊社は、在タイ日系企業をご支援してきた経験から、このようなノウハウを豊富に持っています)

次に、ウェブサイトで成果を上げるため、立ち上げ後に重要になってくるのが「運用」です。

ウェブサイトを立ち上げただけではアクセス数は増えません。ウェブサイトはアクセスされて初めてスタートラインに立つわけで、Google検索結果の上位に表示させるためのSEO施策や広告、その他のメディア媒体をうまく使用しながらアクセス数を確実に増やしていかなければなりません。

ウェブサイトの主な役割は「ユーザーが求めいてる情報」を届けることです。もちろん、冒頭でお伝えしたようにターゲットに寄り添ったウェブサイトのデザイン、構成は重要ですが、明確な目的がないままウェブサイトのデザインを変えたり、企業側が伝えたい情報ばかりを一方的に掲載するのではなく、きちんとユーザーの検索意図に沿った有益コンテンツを作成、掲載する必要があります。
そして、そのユーザーがサイトにアクセスした後のサイト内行動を分析しながら改善のためのPDCAを回していく、それがウェブサイト「運用」です。

ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。 Google は、当初からユーザーの利便性を第一に考えています。新しいウェブブラウザを開発するときも、トップページの外観に手を加えるときも、Google 内部の目標や収益ではなく、ユーザーを最も重視してきました。Google のトップページはインターフェースが明快で、ページは瞬時に読み込まれます。金銭と引き換えに検索結果の順位を操作することは一切ありません。広告は、広告であることを明記したうえで、関連性の高い情報を邪魔にならない形で提示します。新しいツールやアプリケーションを開発するときも、もっと違う作りならよかったのに、という思いをユーザーに抱かせない、完成度の高いデザインを目指しています。
引用元:Googleが掲げる10の事実

上記からわかるように、Googleは常にユーザー体験を第一に考え運営しています。その追求がGoogleの収益を支えるからです。
ユーザーにとって有益なコンテンツを掲載する事でユーザーからの評価が上がり、Googleが評価をし、検索結果画面の上位にサイトを表示してくれるのです。
つまり、ユーザーが求めている情報が掲載されていなかったり、解決したい内容がすぐ見つからなかったり、古い情報のまま放置されているサイトはユーザーからもGoogleからも評価が下がってしまうわけです。
また、コンテンツの更新だけでなく、コンテンツを掲載してからその後どのようにウェブサイトのアクセス数やページ閲覧回数が変化したのか、を検証します。
さらに、流入数を獲得するためにオンライン広告を実施した場合、その結果はどうだったのか、お問い合わせには繋がったのか、などの分析をする事で課題を抽出します。
こうして仮説を元に改善を続けながら、ウェブサイト運用をすることで成果が上がってきます。
上記のようなPDCAを回すことで、お問い合わせ数の増加、ビジネス獲得、といったB2B営業としての成果が出てくるのです。

次の記事では実際の弊社のB2B企業顧客様における成功事例、失敗事例を元にご説明いたます。