まだ先の話と言われていた中国のECが一気にブレイクし、あっという間にEC大国になりました。東南アジアのECについては、「2~3年の内」「いつブレイクしてもおかしくない」「いや、当分ない」など、これまで様々な期待と諦念が囁かれてきましたが、実際のところはどうなのでしょうか。
今回は、東南アジアの中でも成長余地が大きいとされている、タイのEC市場状況を検証します。
タイのEC市場規模
以下は世界のEC市場規模の比較ですが、タイのEC市場はEC先進国に比べるとまだ小規模だと言えます。
世界のEC市場規模(2018年6月)
出典:Statista 2018年6月時点
ただ、ECの市場規模だけで比較しても、タイのECがどの程度の進捗状況にあるのか明確には見えません。そこで、GDPとEC売上規模の比較をしてみます。
GDPに対するEC売り上げ規模の割合
(GDPとEC売上の積み上げを100%とした場合)
GDPデータ出典:IMF – World Economic Outlook Databases (2018年4月版)
こうしてみると、GDPが大きい中国でいかにECの売上規模が大きかが分かります。タイはGDPに対するECの売上が少なく、伸びしろが大きいと言えます。
タイのEC売上推移予測
タイのEC市場規模が今後どのように推移して行くかを予測したデータが以下のグラフです。
タイのEC売上推移予測(~2022年)
出典:Statista 2018年6月
4年後の2022年には現在の2倍近くに成長し、その牽引役となるのは、ファッションや嗜好品といった個人生活者のライフスタイル関連消費になると予測されています。
タイの有力ECモール
日本では2017年時点のEC店舗総数が約190万軒で、そのうちECモールに属さない単独ショップの数は115万軒。EC全体の実に60%が単独のECショップという構造(出典:エンパワーショップhttps://ecclab.empowershop.co.jp/archives/38702)です。
一方でタイのEC市場は日本とは異なり、少数の有力ECモールがその圧倒的な集客力で市場の覇権を握っています。
アクセスの多いトップ5をリストアップします。
Lazada Thailand
2018年3月時点での月間推定トラフィック数:63,000,000*
東南アジアの電子商取引のリーダーであり、インドネシア、フィリピン、シンガポール、マレーシア、ベトナムにも展開するLazadaは、タイでも圧倒的な強さを誇るECモールです。 2016年に中国アリババがLazadaを買収し、東南アジアにおける全事業を傘下に収めています。
Shopee Thailand
2018年3月時点での月間推定トラフィック数:17,000,000*
シンガポール、フィリピン、マレーシア、インドネシア、ベトナム、台湾で展開するShopeeも、東南アジアの有力なECモールのひとつです。ユニークなファッションブランドが多く、特に若者からの支持が高いのが特徴です。
11street Thailand
2018年3月時点での月間推定トラフィック数:5,500,000
韓国発でアジア展開をしているECモールです。東南アジアの若い女性たちに人気の高い韓国製コスメアイテムが強みです。
JIB
2018年3月時点での月間推定トラフィック数:3,150,000
JIBコンピューターグループは、タイのコンピュータおよびIT製品専門のECモールです。 JIBは独自のECサイトで技術製品やガジェットを扱う、この業界をリードするユニークな存在となっています。
Tarad
2018年3月時点での推定トラフィック数:2,900,000*
Taradはタイ初のECモールとして、1999年にオープンしました。 2009年に株式の過半数を楽天に買収されましたが、現地化に手間取り収益向上の目処が立たない楽天が2016年に売却。現在、タイの中小企業および大企業向けのワンストップサービスソリューションになることを目指したモール展開をしています。
(*月間推定トラフィック数はASEANupによる)
さいごに
アリババグループの資金力を背景にLazada1強の独走が続くタイEC市場ですが、今後後続のECモールがどう差別化しながら戦うのか、また今年3月にベトナムに進出を表明し、アジアでの足場をじわじわと固めつつある世界最大のamazonとの覇権争いはどうなるのか、今後も注目のタイ・東南アジアEC動向となっています。
弊社ではタイ市場向けのデジタルマーケティングのお手伝いをさせて頂いております。お困りごとがございましたら、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。